すべては『人が輝く』ために 自分・仲間・関わるすべての人が会社の仕事を通じて輝きを放てればそれが人類への貢献に繋がっていく 神奈川県相模原市緑区で、ものづくり企業の工場設備の設計・製造を行う 永進テクノ株式会社 代表取締役 鈴木道雄 の生き方・働き方

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永進テクノ株式会社 代表取締役 鈴木道雄の生き方・働き方

描いたものを造りたい、触りたい、形にしたいという『思い』なにか問題が起きると考え出したり、解決方法にチャレンジしたりすることにやりがいを感じてやってきた

永進テクノは、ものづくり企業の工場設備における装置の設計・製造を行う会社です。

設備業と言っても一般の方々には馴染みがないと思いますが、モノを作るさまざまな製造工場のいろいろな設備を設計・製造し、設置または撤去します。また、改造したり修理したりする…つまり、仕事がしやすい環境を整える仕事です。これが先代社長が会社を立ち上げた創業時からの業務内容ですが、次第にお客様の要望にお応えする形で、設備以外の仕事もやり出しました。現在、メインの設備業、自社商品の開発販売、組立、この3本の柱があります。

自社商品の開発販売では「エコイット eco eit」というものがあります。これは特許も取得しております。

「コージェネレーション」は発電に関わる装置ですが、我々はエネルギー事業と呼んでいますけれども、これはお客様の仕様に応じて設計・製作して組み立てる仕事です。1台10トンくらいもある大きなものを自社工場で造ります。「コージェネレーション」は業界の中ではそれなりに知られているキーワードで、省エネやCo2の削減など環境対策の面で使われています。

設備業の分野では、最近多いのはロボットを使った省力化・自動化ですね。
今、製造業になかなか人が集まって来ない状況があります。また、技術を持った方々が高齢になられて、だんだん業界から引退されていっています。技術の継承と人の確保が製造業では非常に問題になっています。そこにロボットの登用もあるわけですが、これは人件費の削減というより、その製造を続けていくためには自動化せざるを得ない、それに対してのご提案をさせていただいています。

こうした事業内容を支えているものは、おそらく社風だと思います。

先代社長の久保はもともと設計の出身でしたが、机で設計図を書いているだけでは物足りなくなったらしいんですね。描いたものを造りたい、触りたい、形にしたいという思いが強くなって、自分で会社を起こして、モノ造りを始めたのです。ですので、なにか問題が起きると考え出したり、解決方法にチャレンジしたりすることにやりがいを感じてやってきた…それが会社の基本にあると思います。そして、そのことが我々のような小規模な組織が地域で生き残っていくためのやり方だ、と先代社長は言っておりました。僕も、これがお客様の信頼を得る大事なことだと思っています。

実は、「エコイット」にしても「コージェネレーション」にしても「ロボット」にしても、先代社長が「始めるぞ!」と言った時に、私も含め、ほぼ全員の現場サイドの社員が反対しました。我々には出来ない、もっと専門分野の人がやるべきもので我々が手を出すべきではない、と。でも「将来の永進テクノには絶対必要だ」と、先代社長の意志は固く、結局、それらが現在、我が社の主力になっていています。

僕は「エコイット」を販売するメーカーの立場で呼ばれた時には「ウチはメーカーらしくないところが特徴」と言います。また、設備屋として動いた時には「ウチは設備屋らしくないところが特徴」と言います。つまり、メーカーとして行った時は設備屋としての立ち位置でもお話させてもらう、設備屋として行った時にメーカーの立ち位置で新しい提案などさせてもらう、そこに違いを感じて頂けると思うからです。これが事業が入り混じっている良さだと思うのですね。

それというのも、「エコイット」の話をしている時に「ウチは設備屋なので、装置を使う側の立場でもあります。そういう見地から、我々にとって一番使いやすい装置は何かと言うことを追求して開発した商品です」と話せることが強みだと思ったからです。「机上で設計図を描いただけのモノではなくて、我々が現場で汗まみれ、泥まみれになった結果、考え出した、なにより使いやすいモノを目指した商品なんです」と話しをすると、先方の現場の方と通じるものが結構あるんですね。これは自分達がそういう環境で育ってきたからこそ言える言葉なので、すごくありがたいな、と思っています。

メーカーらしい話しはメーカーならどこでも得意ですよね。でもウチは違った目線で商品の話しもができる。またその逆もあります。メーカーらしくないところ、設備屋らしくないところ、それらが補完し合って“我が社らしさ”、“自分達らしさ”になっている。こういうことが、我が社の大きな特長や強みだと思います。

「これは永進テクノの商品です」と言えるメーカーとしての意識困難な状況を越えられた!という思いが、今の行動力の源

対話する?

先代社長は、将来を見据えてチャレンジするということに関してはかなり積極的でした。しかし、あまりいろいろなものをつまみ食いするようなことはしない。最初から、現在の3本柱を心に期していたようで、早くからそれらの話しを我々は聞いてきました。僕など「大きな夢ですね」などと言って、本当に実現するとは思っていませんでしたよ。

それぞれの柱の進捗はいろんなシチュエーションのもとで進んできましたが、リーマンショックでまったく仕事にならない状態になった時、背に腹は代えられずということで始めたのが自社商品の開発販売です。

でも、当初、我々自身がメーカーと名乗ることに抵抗と言うか、迷いがあり、「ウチのようなところが販売しているモノなんですけど…」という弱気なスタンスでした。2年ほどしてやっと「メーカーです」と堂々と言えるように変化してきましたが、その間に我々が自信を付けられるような受注もありましたし、テレビに取り上げていただいたことでウチの商品の代理店を希望してくださるところも増えてきたからでしょう。 私はそれらのシーンにすべて携わってこれたので、まだまだ足りないところもありますが、「これは永進テクノの商品です」と、はっきり、メーカーとしての意識を現在は持っています。これは設備だけの仕事の時にはまったくなかったことです。そっちに喜びを感じることができるようになった時から、そう言えるようになったのでしょうね。かつてはずっと自信がなくて、「この発注、我々が頂いていいのだろうか」といつも思っていましたからね。

それぞれの事業、止めようと思ったこともありましたが、その状況を乗り越えた時に「越えられた!」という思いが、今の行動力の源かな、と思っています。

「エコイット」に関しては、これに僕自身は賭けていたので、あきらめたくなかったというのが正確な気持ちでしょうね。

私は文系の経理出身なものですから技術のことはまったくわからない。ですが、先代社長の甥ですから将来会社を継ぐ可能性があるという認識は持っていましたし、「エコイット」の開発当時は副社長だったので、それなりの責任感もありました。なので、その動静は非常に注視していました。

今でもそうですが、「エコイット」を納入したお客様の所に行って、「エコイット」が元気に動いているのを見ると「ありがとう!」と思います。父兄参観に行って子どもが一生懸命に手を上げている光景を見るような気持ち、運動会で応援する気持ち…そういうものに近いかもしれません。

機械が汚れていたら拭いてあげたくなっちゃう、そんな気持ちです。もともと汚れをきれいにするという装置ですので、そういう場所に設置されているのですが、機械そのものの汚れは取れるところは取ってやり、「このあともがんばってね」とエールを送って帰りたくなる。おそらく、僕だけでなく、皆こんなふうな気持ちだと思いますね。

それというのも、「エコイット」の販売促進は当初厳しい状況でして、副社長の私と営業部長の二人でそれに携わったのですが、1年間で10台しか売れなかった。これでは一人分の給料すら出ないですから、会社の利益としてはまったくマイナスなわけです。そんな我慢の時代を経て、年間200~300台を売るようになったので、特に感慨深いものがありますね。

私は海外販売の責任者を任せてもらったことがあるのですが、それが自分の中でとても大きな経験になっています。

我が社は創業してから40年以上の実績があるので、国内ではそれなりにお客様もいてくださる。協力者もたくさんいます。また、地元・相模原市や国の補助金といった公的な支援を受けてもいますし、取引先銀行からお客様をご紹介していただくということもあります。厳しい時代であればこそ、お互いに助け合うという部分がありますよね。

ところが、海外ではそれらは一切関係なく、日本のバックボーンというものはほとんど影響力を持ちません。そうした環境の中で、現地法人として事業を展開していくのは自分一人で商品とカタログを持って一人一人を攻略していく方法しかないわけで、いわば創業期のようなものなんですね。

日本だと、周囲が僕を見る目は、どうしても、先代社長が築き上げた基盤があってそれなりに認知されている会社の二代目ということから免れませんが、海外ではまったくそれは関係ない。また、僕自身も創業時の苦労は実際はまったくしていないわけです。その両面の意味で、非常に貴重な経験を積ませてもらいました。

私は5カ国くらい担当してきましたが、人との出会いから、なにからなにまで、すべてゼロからの出発。だから、今、新しいことをやることにあまり抵抗がないという、強靭なところが身に付いたのかもしれません。

その経験をしたのが私しかいないのがこれからの課題で、もっともっと皆にこうした機会、成功体験を味わってもらいたいと思っています。苦しいことを乗り越えるのも成功体験の一つですが、そういうことに対しても、皆の手助けをしていきたいな、と思っています。

タイで営業活動を始めて、いろいろな方との出会いがあり印象に残っている方も数々おられますが、その中で一番刺激を受けた人物がいます。僕と同じ歳の方で、ある商社の現地社長として責任ある仕事をしておられた。タイはその時期、景気上昇気流の真っただ中でしたので、その最前線でダイナミックに会社を動かして活躍していました。その姿にものすごく感銘して、こんな環境で働きたいと思いましたね。なにより、楽しそうだった! その頃日本はリーマンショック以降の苦しい時期なので暗い話題も多く、景気のいい話しもありませんでしたから、なおのこと感じるものがあり感化されたのでしょう。場所が変われば状況は変わる、やり方や考え方によっていくらでも好転できるなどをこの同じ歳の社長から見せてもらい、当時僕は副社長でしたが、自分も頑張らなければならないと、日本とタイを往復しながら、切実に思わされました。その方とは今日でも親しい交友関係が続いています。

現在、タイの会社は、日本人1人と4人のタイ人のメンバーで頑張ってくれています。

荷が重いと思うことを敢えて背負う『意義』自分が良いと思うやり方を自分で決断して実行し、その結果出た成果は、成功体験の中でも意味合いが違う

対話する?

これまでは、勝ち抜くために、追い抜くために、競争相手をよく見て研究をしながらやってきました。目の前に努力目標があって、それをどう越えるか、それだけを考えていけばよかった。でも、今、我々は業界で最先端にいると言える地点まできていると思っているし、お客様からの支援もいただいている。けれども、現状のままで、はたして、それでいいのか…。
今後、どう伸びていけるか、あとどれくらい頑張れば次のステージに行けるのか、それらはベンチマークがない中で、自分達ではなかなか感じにくいものがあるんです。つまり、自分達で到達点を設定しないといけないからです。そこに難しさがある。

時代も変わってきていますよね。リーマンショック以降の4年間と言うのは、とても特別な4年間だったと思います、世の中的にも我々の精神状態としても。その困難を上手く乗り越えたやり方と、これから上手くやっていける方法は、おそらく違うと思うんですね、根本は変わらないとしても。なので、そこをどう捉えていくか、それがこれからの挑戦だと思っています。

その一つの打開策としては、僕がその事業は止めたいと言っても先代社長が継続させたように、本人は「荷が重い」と言っても、あえて背負わせてみようかなと思っています。例えば、現地法人の社長を若い30代初めの者に就かせたのもその一つです。「立場が人をつくる」ということがありますから、彼らにはそれだけの決断や判断をしていって欲しいですね。このへんは意識的に実行しています。ホントは、まだまだ自分が先頭に立ってやりたいんですけどね(笑)。

自分が良いと思うやり方を自分で決断して実行し、その結果出た成果は、成功体験の中でも意味合いが違うと思うんです。責任感の持ち方もまるで異なります。与えられた条件の中で成功する場合とは、その中身に雲泥の差がある。

「エコイット」の開発販売開始当時、私は副社長で、それなりの権限を与えられていたということもあって、そういう経験をさせてもらえた。こうした経験を、皆にさせたいですね。

先代社長と私は30歳離れていまして、人生でも業界でも大先輩ですから、私が遭遇するようなことはおそらくすべて想定されていたと思う。そこが当時と現在の違いです。というのは、今、責任者に就いている者と私は同年代ですから、私の経験値がないことも起きてきます。なので、読み間違いも当然あり、まず、僕自身が経験しなくてはならないな、と思うことも多々あります。自分自身の成長と皆の成長を同時に考えなくてはいけないわけで、自分のキャパシティというか、器の大きさというか、そこで悩むことが、結構、多いですよ。今は自分に負荷を掛ける時期、皆の数倍成長しなければいけない立場と思っています。

ありとあらゆることは『ゴール』への過程それぞれ異なる個性を生かしつつ、その人が活躍できるようにすることが一番重要

対話する?

社長就任以来、とてもいろいろなことがありましたが、ありとあらゆることはゴールへの過程だと思います。

目標の達成、夢の実現、期待に応えるなど、そういうことすべてをひっくるめたゴールですね。そういう気持ちを強く持てると、現在置かれている状況がマラソンで言うと何キロくらいの地点なのか、と考えられる。今は辛い時期だけれどそれは当たり前、それを乗り越えることは当然の試練、であれば、それをどう乗り越えるか…それによって、ゴールの仕方が変わると思います。
であれば、自分は、今、何をしなければならないのか、自分に突き付けられている問題は何か…それらをパニックにならずに考えられるようになったのは、ここ数年のことです。

もともと私はポジティブ志向の人間です。しかし、ポジティブはネガティブにもなりうる面があり、いわば表裏一体じゃないですか。ポジティブでいても、限度を超えるとネガティブになる…でも、そうではないな、と考えるようになったのは、最近になってからです。

これまでの私の人生で、永進テクノに入ってからでも、「あれはやらなければよかった」、「あれがなければよかった」と私は思わないのですね、上手くいかなかったのは、まだ何かが生かされていないだけ、そういう思考性の方が強い。なので、この困難がなぜ今自分の目の前にあるのか、その意味に思いを巡らせ、それは「もっともっと成長しなさい」ということだろうと解釈します。そして、それはゴールするために必要な成長なんだ、と考えます。

だから、それをどうやって乗り越えるか、ただ単に目先の処理ではなく、自分に足りてないものはなんなのか、自分になにを伝えるためのメッセージが込められているのか、そこまで考えるようにしています。

かつてのように気持ちをがむしゃらに奮い立たせるのではなくて、もうちょっと冷静に奮い立つと言うか(笑)、そういう変化は、他にも表れていて、そう考えるようになってから、課題に取り組む姿勢や、人の接し方などが変わってきました。

かつては感情的になったり、相手に対して不満を持ったりすることも多かったと思いますが、今は自分の思いを表すことより相手が置かれた環境や状態を見ることを重視しています。そうすると、どういう言葉が今適切なのか、そういうふうに考えるようにもなりました。

自分が成長しながら皆も成長するという同時進行では、なかなか教えたり、指示したりするのは難しいですよね、人は経験値からしか自信を持ってものを言えませんから。なので、「このように変わってくれ」と言うのではなく、自分はこうやって変わってきたとか、今自分はこのように変わろうとしている最中だとか、皆とそれを共有するということかな、と思っています。

社長に就任する前は僭越ながら会社を引っ張って行っているのは自分だという気持ちに溢れていて「自分が」「自分が」ばかりで、周りに対して、ほとんど、考えませんでした、いや、考えられませんでした。社長に就任してからも、それはすぐには変われませんでした。けれども、それではなにも解決しないということを身にしみて味わって、本当に意識的に変わってきたのは、ごく数年のことです。永進テクノに入社して以来、いろいろなことを経験しましたが、中身の濃さから言うと、ここ数年が一番濃いです。

青年工業経営研究会でいろいろな仲間から学んだことも多いですよ。その学びを我が社で生かすということ、頭で理解したことを実行するということ、このごろようやく少しできるようになったかな。まだまだ毎年毎年分からないことや不足している部分が出てくるんですけれどね。

私自身がいろいろなことをようやく方向性として信じることができるようになった状態なので、社員にそれを伝えることはこれからです。

また、今やっているのは何なのか、やらなければいけないのは何なのか、それを自分達で見つける作業が重要だと思っています。それは座学でなくて、人との関わりの中で築いていくこと。そのためにはさまざまな経験を積むことが必要なんであって、私自身がこれまで経験したことも取り入れながら、やっています。今しなくてはならないのは、新しい仕事を見つけることよりも、そっちの方が先決かな、とも思っています。

そういうプロセスの中で、自分にとって大切な言葉や考え方を見つけていくものですが、それらを見つけた時、すっーとわだかまりと言うか、もやもやしていた部分がなくなる…そういうことの積み重ねですよね。

私の社員に対する姿勢も変わってきています。

同じ経験でも人はそれぞれ感受性が違います、それを踏まえたうえで、その社員にとってその経験は何になるだろうかと、社員一人一人を見つめるようになっています。それまでは何事も組織として考えていた面が大きかったです。つまり、永進テクノという組織の中での役割重視というか、それを最優先に考えていた。

でも、大切なことは、その人にあった役なのか、その人が成長するためになるか、それに思いを巡らせながら役に付けることが必要なんだということ。

中小企業は人で成り立っているので、それぞれ異なる個性を生かしつつ、その人が活躍できるようにすることが一番重要。どうすれば活躍できるのかな、どんな活躍したいのかな、そんなことを考えることが最近多くなりましたね。

『豊かな人生、夢の実現、幸せ』 会社とは、その一つのステージでしかない「アイツ、今、仕事に燃えているね」「充実感にあふれている感じだね」、そういうものが滲み出た会社になること

対話する?

豊かな人生、夢の実現、幸せ…

会社とは、その一つのステージでしかないと、最近、ことに思っています。

どんな仕事をしたいのかを問われれば、かつては、自分の好きなことをやりたい、と答えるだけでした。また、どんな会社にしたいのかを問われれば、自分が良いと思ったことをはっきり良いと言える立場になりたい、と答えてもいました。そのためには自社商品を造らなければいけない、他社との違いを明確にしなければいけない、そういう感性を常に研ぎ澄ませていなくてはならない…そういう思いが強かったですね。

でも今は、人生とは、会社とは、それだけのものじゃなくて、それをやっていること自体が楽しい、それがその人を輝やかしているのだ、と思うようになっています。

「アイツ、今、仕事に燃えているね」とか「充実感にあふれている感じだね」とか、そういうものが滲み出た会社なればこそ、いい仲間といい仕事をやっているという満足感もあり、人生が楽しいし、幸せと感じるのだろうな、ということです。

海外を担当していた時、韓国での経験がとてもいい印象で残っています。
日本から一緒に行った同業他社の社長と私、それに韓国で一緒に同行営業をしてくれた現地法人の社長と営業部長、4人で食事をすることがありました。その時、仕事について本当に楽しく、わいわいと盛り上がってお話しをした。仕事を通じてこんなにもいい気持ちになれて、「じゃ、明日から頑張りましょう!」と言い合える、すごくいいことだな、素敵なことだな、と思いました。この雰囲気を我が社員とも築きたいですね。

今思えば、その社長さんはとても懐の広い方で、我々といろいろ共有する努力をなさっていたのだと思います。つまり、「自分が」「自分が」と押し出す一方だとそういう楽しい場にはならないわけで、そこが当時の私自身とまるで違っていましたね。

メーカーとして業界のトップになりたい、販売台数ももっと伸ばしたい、誰もが認める業界のナンバーワンになりたい…それらのためには、何をするか、それをずっと考えてきました。そういう営業企画に時間と意識を非常に費やしてきましたし、それが私の得意分野です。それはこれからも続けたいし、そこに幸せを感じるのは事実なんですが、現在は、それを実現できる仲間づくりや、「それ、面白そうですね」と言ってもらえるような人間関係づくり、その部分にもっと力を入れていかないと、本当に自分が描いているようなことは実現できないと思っています。

自分がいくら明確にビジョンを考えていたとしても、一緒に歩んでくれる仲間がいないと実現できないですよね。また、逆に、自分はそういうパートナーになれるどうか、そういう視点が芽生えています。

会社って面白い存在だなとは思います。人生のほとんどをそこで費やすわけで、家族と一緒に居る時間より長かったりする。だからなおのこと、そこで何を成し遂げるか、何を喜びと感じるか、そのあたりをしっかり考えないと、あっと言う間に毎日の時間は過ぎ去ってしまうものだと思います。目の前にぶら下がっている仕事の案件があると、すぐそうしたことは忘れちゃうじゃないですか。どうやって受注をこなせばいいか、とか、どう進めるか、とか、意識はすぐそっちにいってしまいますからね。

『優しい気持ち』が根底にないと、物事は続いて行かない永く前進を続ける会社

対話する?

先代社長に会社名の由来を聞いたことがあります。
自分が退いたあとも次から次へと継がれて行き、永く前進を続ける会社にしたかったから、と言ったんですね。二十代で創業した時にそういう発想ができたことはすごいなと思う、そこまでの深い読み方をする姿勢は僕にはない部分です…今やりたいこと、それに邁進することしかできなかった。二代三代先を見据えていたというのは、まさに頭が下がる思いです。

僕が社長就任し、次世代を考えていくことにまだ積極的な方針を示していないのは今だから許されているが、これからは許されないだろうと思っています。そこが今後、僕が取り組むべきテーマでしょう。ですが、急いで取り組むことはしないで、まずはしっかり現在の足場を固めていきたい。

大切にしていることの一つには「優しい気持ち」ということもあります。仕事にしろ、対人関係にしろ、それを基調にして向き合えるかどうか、そのことがとても大事だと感じています。

「鈴木君って、優しいよね」と言われたことは、ほとんどないんですよ。それでたくさん失敗をしてきました。私は何かに没頭したり、何かにダッシュするとなると、厳しさが過剰になる傾向があるんですね。自分に対して厳しいのはいいけれど、他者に対してはそういう態度ばかりだと、広がっていくものも広がっていかない。続くハズのことが続かない。それでは、関係がぷつぷつ断絶するというか、継続的な発展になっていきません。これからも仕事を共にやりたいなと思ってほしいのであれば、それでは絶対ダメなわけです。私は、まだこれがなかなかできていない…。

一般的に言われる“優しい人”という意味ではなくて、向き合い方というか、攻撃的ではないと言うか、そういう気持ちが根底にないと、物事は続いて行かないですよね。

優しさという表現が妥当かどうか、思いやりでもいいし、気遣いと表現してもいいのですが、私は厳しいと言われるので、その対語として、優しさと言っています。

優しさを持ったチームの中に、一人激情型がいると、それでバランスが崩れることがとてもあります。相手により、その場の雰囲気により、ちょっと引いたり、ちょっと押したり、発言のタイミングをよく考えたり、そうした配慮ができることが優しさの一つだと思います。自己中心的ばかりだと壊れていくものがありますよね、自分がそういうタイプなものですから、自戒を込めているのですけど(笑)。

また、厳しい顔ばかりしていると、お互い、距離感が広がるだけじゃないですか。上下関係のけじめは必要ですが、そういう意味ではなく、場面場面での配慮をいかにできるか、それができてこそ、本音が言い合えるようになるのであり、前に進むことに繋がるのだと思っています。

優しさがあればもっともっと得られるものが多いにちがいないですよね、ここらへんに気を付けているところです。

そして、就職面接の際には、こうしたことを意識して話しています。

すべては『人が輝く』ために自分・仲間・関わるすべての人が会社の仕事を通じて輝きを放てればそれが人類への貢献に繋がっていく

対話する?

「人が輝く」というフレーズが現在、私の中で最も大切なものです。

さまざまなシーンがあるわけですが、その場その場で自分が輝いていると、周りの人を元気にできる、前向きになるアイディアや言葉が出てくるのではないか。

言葉一つで暗かった場やピンと張りつめていた状態が穏やかになることってあると思いませんか。そうすると、本来すべき会話がそこから始まったりしますよね。
逆に、その一言がなかったがために、決裂したり、距離が広がったり、溝が深まったりもする。そんなことで閉じてしまったなと悔む、苦い経験が過去にいくつもあります。

仕事とは、人と人との関係が結果を非常に左右します。
「人が輝く」ためにどうすればいいのだろうということを必ず枕詞として考えれば、いろいろなことの結果がよりよく展開するのではないか、と思います。

我々は、社会貢献・人類の幸福に何ができるかと大所高所から聞かれても、大きな声で「これです」とは言いにくいですよね。まず自分、仲間、いろいろと関わっている人達が会社の仕事を通じて輝きを放たれれば、それが人類への貢献に繋がっていく、そう思っています。

先代社長から受け継いだ理念に『信義・誠実・明るい企業』というものがあります。

それを実現するのは「人が輝く」ことなのではないか…これを皆と一緒に考えていきたいと思っています。

問題に向き合うにしても、苦しみながら向き合うばかりではいけないのではないか。何かを乗り越える時に苦しみの中だけで続けていくのは精神的に難しいと思います。 これでは幸せでもなんでもないですよね。

当然ですが、仕事を続けていく上では順調なことばかりじゃありません。トラブル、困難、非常事態、さまざまな大変な時に見舞われるでしょう。そんな時どのように対処したらいいのか。

その一つの解は、輝き方を自分で見つける、と言うことだと思います。

そして、それを生かすメンバーが集まっていれば、なおよい形でそれができる。それを積み重ねることによって「あの仕事大変だったけど、解決してよかったね~」と言い合えると思いますね。

順調な時に使う言葉は一杯見つかったのですが、自分が塞ぎ込んでいる時やキャパを超えた時に自分を奮い立たすことができる言葉ってなかなか見つからなくて…そんな時、「おまえならできるよ」とか「今は苦しいだろうけど一緒に乗り越えようぜ」と言ってくれた人が、本当に、輝いて見えました。

会社もいつもそういう雰囲気の環境にしていきたい、経験者が未経験者にそういう気持ちになる方向にいざなうような、そんな社風にしていかなければならない、と思っています。

僕は『社員』に恵まれていますウチのメンバーは真面目で責任感の強い人ばかりです

対話する?

ウチの会社は常にチャレンジすることを求めている会社です。

私はこういう性格ですから、自分達が一生懸命頑張ったものを簡単には奪わせないぞ、と強く思っています。その努力の成果が、企業の継続だと思うのです。
簡単なものは簡単に乗り越えられるものでもある。簡単でないものでないと、勝負は挑めないです。また、簡単な仕事は続かないと思っています。組織とかシステムを複雑にすると言う意味ではなく、常にチャレンジして、深く踏み込むと言うことです。

そういうところで、僕はかなりの要求を皆にしています。僕がやりたいということに対して、「なんでそんな面倒くさいことを始めるんですか」などと言われることもあります。わざわざ面倒くさい所に踏み込むのはなぜか、これは我々の会社(=皆)を守るため、成長を続けるため。でも、指示される側は大変ですよね、かつて私も散々先代社長に楯つきましたものね(笑)。でもまた私は、それを乗り越えた時にそれが大きな武器になった、そういう成功体験も得たわけです。

今この困難を乗り越えることは、何年後かにとてもスキルの上がった、経験値のある、判断力のある人になるための試練、そう思えれば、それに向き合って行けると思っています。そういう考え方を自分のものにできると、すごく早く成長できます。そして、将来もっと大きな仕事に出会えることができます。

ウチのメンバーは真面目で責任感の強い人ばかりです。僕は結構無理難題を言っていると思うのですよ、それを実際にこなしてくれています。嫌々ではなく、ほんとに仕事にちゃんと向き合ってくれています。しかも、そんな多忙な中でも、社内の改善などにもきちんと意見を出してくれる…僕は社員に恵まれています。

現在、3本柱の事業は3、4の拠点に分散して行っています。各エリアがそれぞれある部分は独立採算で運営されています。それを責任者が牽引している。20人ほどの規模の会社で、責任者クラスが3人も4人もいる、これはたいしたことだと思いますね。

『ネクストステージ』に進んで行く自分のやりがいをはっきり感じることができる、そういうステージ作りをもっと増やしていくことが私の仕事

対話する?

ネクストステージに進んで行く。

その施策は今の各責任者が考えて実行していくわけですが、各人が自分の魂をいかに入れ込めるか、自覚や認識をいかに持つか、それに掛かっています。

その中で大事なことは、自分のやりがいをはっきり感じることができる、そういうステージ作りをもっと増やしていくことが私の仕事でしょう。

そして、各事業部がお互いにコラボして行く、これがスムーズになったら、他社に簡単にはまねのできない、強い会社になると思っています。

新商品は突然パッと生まれることはある。でも商品と設備の組み合わせが、パッとできるかというと難しいと思うのですよ。それが我が社は1社で、社内連携で組み合わされる。そいうことがいろいろな環境に強い組織体なのではないかと考えます。

私はある部署一つと言うのではなく、縦横にさまざまな経験を積ませてもらいました。これはある意味特典ですよね、そうしたことを皆にも経験して欲しい。

複合的なものは網羅性があってとても必要なものですが、ある部分に特化したものも非常に強い。その特化と特化を組み合わせる。強いモノと強いモノがいつも競い合って進化する…我が社はそういうシステムだし、それだから、時代の早い変化にフットワークよく対応していけると思っています。

現在のタイの社長は、10年前、新入社員として入社した僕の直属の部下だった者です。7年間ずっと一緒に仕事をしてきました。今、彼はタイの社長として、私と話す立場になったわけですが、お互い経営者として、昔とは違う立ち位置で会話しています。独り立ちして事業を担っている彼を見て、感慨深いですよ。彼の可能性はもちろん、僕の可能性も、会社の可能性も大きく広がったな、と思います。これから、彼も我が社の中心人物の一人として、多くの人を育ててほしいですね。そして、また私自身が彼と一緒に仕事をすることもあるかもしれない。その時にはまったく異なるコラボレーションも生まれるだろうと、すごく期待しています。

こういう、よい循環がたくさん起こればいいな、と思っています。

経営者になってから以前よりさらいろいろな方々にお目に掛かります。輝いて見える人と仕事を一緒にやりたいですね、そして僕ももっと輝きたい。仕事を頼んでみたい、頼まれてみたい、と思うことが多いです。

我々経営者は外部的な接触が多いので出会いに恵まれていますが、こういうことを我が社員達、皆にも経験させたいんです。そのためには、会社としての信頼性、資金力、いろいろな充実が必要になってきますので、早急に実現はできないけれど、目指していきます。

その仕事をやる『意味』を考える仕事ができるということはとても有難いことであり、素晴らしいこと

対話する?

仕事はやりがいがとても大事です。

業務の大変さはそんなに重要なことではありません、仕事はなんでも大変なもの、これは前提だと思っていますから。むしろ、そこにやりがいがあるかどうかを重視したい。

月曜日、仕事に行きたくない…そんな会社にはしたくないでしょう? 次はなにをやろうか…、チャレンジの気持ちが湧く…そういう刺激を感じることが人生の醍醐味だと思います。

また、自分が成長している、お客様に貢献している、会社に貢献している、そんなことを実感できるような会社でいたいです。本人のそういう気持ちが家族にも、友人にも伝わったり、それらをさまざまに周囲に発信できる、そういう環境であればいいなと思います。そういう会社にしたいと思います。

社員が全員同じ方向に向いて一斉に走る、私はそういう形は求めていません。個人差がありつつ、その根底に前に進む気持ちがある、そういう組織が崩れにくいのではないかと思うからです。

この世の中、外部的な力で崩れるような状況はいくらでもあります。そうした時、社内が一方向に統率されていると、かえって修正が難しいのではないでしょうか。さまざまな経験を積んだ先輩が、経験していない者を支えたり、押したりして、自己修復できることが強い組織になる要因だと思います。

仕事ができるということはとても有難いことであり、素晴らしいこと、この気持ちを持ち続けてほしいです。

また、たくさんある企業の中で永進テクノで仕事をしている意義、この場所でいかに楽しく、やりがいを持って日々を送れるか、それに思いを巡らしてほしいです。

単純にラクな仕事を選択することではなく、その仕事をやる意味を考えられるかどうか、そういうものを仕事に求めてほしいですね。

経験者の話というものも貴重ですよね、こちらからもいろいろ投げ掛け、キャッチボールをやることで、それがやりがいに結びついても行きます。そういう共有もしたいと思っています。

「アイツ、今、仕事に燃えているね」
「充実感にあふれている感じだね」

そういうものが滲み出る会社を共に目指したいです。